「Gemini 4 Argon」とは? Googleの新AIモデル、出力100万トークン いつ使える?料金と性能を解説

米カリフォルニア州マウンテンビューにあるGoogleの看板 テクノロジー

トップ画像:Dietmar Rabich / CC BY-SA 4.0

Googleは日本時間10月1日早朝、新しいフロンティアAIモデル「Gemini 4 Argon(ジェミニ・フォー・アルゴン)」を発表しました。一度に出力できる量を従来の6.4万トークンから100万トークンへ大きく広げ、長時間にわたる複雑な作業を一つのモデルでこなすことを狙っています。ただし、最初に使えるのはサイバー防御に取り組む限られた組織だけで、一般の利用開始日はまだ決まっていません。発表から1日たった10月2日もGoogleの検索トレンド上位に入っており、関心の高さがうかがえます。何が新しく、いつ使えるのかを整理します。

Gemini 4 Argonとは

Google DeepMindのロゴ
Gemini 4 Argonを開発したGoogle DeepMindのロゴ写真:DeepMind Technologies Limited / Public domain

Google DeepMindのコライ・カヴクオール氏(上級副社長、チーフAIアーキテクト)が公式ブログで発表しました。Argonは「複雑で長期にわたるワークフロー」向けのモデルと位置づけられ、主な用途として次の3つが挙げられています。

  • 実際のソフトウェア開発(大規模なコードの移行や修正など)
  • 法務・金融などの企業の知的業務
  • サイバーセキュリティの防御(脆弱性の発見・検証・修正)

最大の特徴は出力上限の拡大です。公式ブログは、数十万トークンを一度の流れで生成できる余裕があることで推論に新しい深さが加わると説明し、80万行を超えるコードベースの移行などを例に挙げています。セキュリティ企業のWizがArgonを使い、世界の病院で使われている医療系ソフトウェアに、従来のモデルが見落としていた重大な脆弱性を見つけたことも紹介されました(ソフトウェア名は非公表)。

名称にも変化があります。これまでのGeminiは「Pro」「Flash」といった区分で呼ばれてきましたが、今回は「Gemini 4 Pro」ではなく「Argon」という名前で発表されました。名称の理由についてGoogleは説明していません。

性能:得意な分野と、他社に及ばない分野

Google DeepMindのモデル紹介ページでは、OpenAIの「GPT-6 Astra」、Anthropicの「Claude Fable 5.1」「Claude Opus 5.5」と比べたベンチマークの結果が公開されています。

  • ソフトウェア開発のDeepSWE v1.1:Argon 77.9%(Opus 5.5は74.2%、GPT-6 Astraは74.1%)
  • 業務自動化のAutomationBench:Argon 51.3%で首位(Opus 5.5は42.5%、GPT-6 Astraは41.4%)
  • 法務のHarvey’s Legal Agent Benchmark:Argon 19.6%(GPT-6 Astraは5.4%、Opus 5.5は3.8%)
  • 25.6万〜100万トークンの長文を扱うGraphWalks:Argon 84.2%(GPT-6 Astraは71.8%)
  • 脆弱性修正のCWE-bench v1:Argon 68.0%でGPT-6 Astraと並んで首位

一方で、すべての項目で上回ったわけではありません。ソフトウェア開発のFrontierSWE v2ではArgonが55.0%に対しGPT-6 Astraが65.5%、パソコン操作のOSWorld-2.0では69.2%に対しGPT-6 Astraが72.6%と、他社モデルが上回る項目もあります。なお、これらはGoogle自身が公表した数値です。

いつ使える? 提供方法と料金

まずは「Fairwind Program(フェアウィンド・プログラム)」を通じて、信頼できるサイバー防御組織に限って提供されます。デミス・ハサビスCEO(Google DeepMind)はXで、政府と信頼できるサイバー防御者から責任をもって提供を始め、その後に広く提供すると投稿しました。次の段階では有料のAPI利用者と、最上位プラン「Google AI Ultra」の加入者から順に提供する予定ですが、具体的な日付は発表されていません。日本での提供時期にも触れられていません。

APIの料金は、導入期間は100万トークンあたり入力2ドル・出力10ドルで、キャッシュされた入力は95%引きです。導入期間が終わると入力4ドル・出力20ドルになるとしています。

安全対策と今後の見どころ

Googleは、サイバー攻撃などへの悪用を防ぐ訓練、外部の文章に紛れ込ませた指示でAIを操る「プロンプトインジェクション」への耐性強化、推論過程の監視、隔離された環境での運用といった安全対策を説明しています。限られた組織から提供を始めるのも、こうした高い能力を慎重に広げるためと位置づけています。

今後の注目点は、有料APIとGoogle AI Ultraでの提供がいつ始まるか、そしてGeminiアプリなど一般向けサービスに組み込まれるかです。Googleが公表したベンチマークの結果が、実際の利用者の評価でも裏づけられるかにも関心が集まりそうです。

参照した情報源

記事内の情報は2026年10月2日10時時点のものです。

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